外来で行う処置について
(1)『鼻汁吸引について』
<何で嫌がるのにおハナ吸うの?>
わたしたちの鼻にほこりなどの異物が入ったとき、体はこれを外に出そうと反応し、“ハナミズ”が出ます。
小さなお子さんは、ハナの穴が小さく、鼻粘膜も敏感なため、ちょっとした刺激や気温の変化などでもハナミズが出てしまいます。
鼻の奥には、鼻腔という広いお部屋があります。そこには、ハナミズがたくさん溜まっています。鼻腔は温かく湿っているため、病原体が繁殖し易いのです。細菌などが鼻粘膜に感染すると黄色や緑のドロ〜ッとしたハナミズになります。
鼻腔に溜まっている鼻水は、お薬ではナカナカ取れません。そんな時は物理的に吸い出してしまうのが一番! 楽になるし感染予防になるんです。
<ハナをすすってはいけませんッ!>
ハナミズをズルズルとすすってはいけません。鼻水をすすると、細菌やウイルスのついた鼻水が鼻の奥に入って副鼻腔炎を起こしたり、耳道に影響を及ぼして中耳炎の原因になったりします。時には、ここで増殖した病原体が、気管支炎や肺炎の原因になることもあります。恐いですね。
個人差はありますが、2歳ころになると自分で“チーン”と鼻をかめるようになります。ズルズルしているようでしたら、鼻をかむのが一番スッキリするので、“チーンしてごらん”と誘ってあげて練習しましょう。ただ、鼻は両方いっぺんに力を入れてかむと鼓膜を傷つけてしまいます。片方ずつに! かまない方の鼻を指で押さえるようにすれば上手くできます。
“チーン”のできない小さなお子さんは、お母さんがハナ吸器でまめに吸ってあげましょう!
<鼻づまりを改善させるお家での工夫>
・暖房で部屋が乾燥しすぎないように、加湿器などを使うのも良いでしょう。
・お風呂の湯気は鼻の粘膜を湿らせてくれます。お風呂で温まるのも良いでしょう。
・暖かいぬれタオルで鼻を温めると鼻の血管が拡張して鼻の通りを良くしてくれます。
・鼻の付け根をマッサージすると鼻の血管が拡張して鼻の通りを良くしてくれます。
(2)『吸入について』
<吸入ってなんじゃい?>
わたしたちは、鼻や口から息を吸って、肺に空気を運んでいます。そして、肺胞で酸素と二酸化炭素を交換し、再び口や鼻から外に出しています。この空気の通り道を“気道” といいます。
気道の患部に薬剤を霧状にして直接到達させる治療法、それが吸入です。
<どんな病気でするの?>
ノドが腫れて呼吸が苦しくなるクループ症候群、気管支が狭くなり呼吸困難となる喘息発作、粘調な痰が増えて上手く出せなくなる気管支炎や肺炎など呼吸器感染症などでおもに吸入を行います。またアレルギー性鼻炎や蓄膿症で鼻吸入を行うこともあります。
<吸入器の種類>
@ ジェットネブライザー
手軽に利用でき携帯にも便利です。
A 超音波ネブライザー
細かい粒子となるため気管支の奥の方まで薬液が届きます。また、加湿効果に優れています。
<どんなお薬を使うの?>
ベネトリン:喘息発作などで気管支が狭くなった場合に、気管支を拡げるためのお薬です。
ビソルボン:粘調な痰をサラサラにして出しやすくします。
ボスミン :クループなどで喉頭が炎症を起こし腫れている時に、この腫れを抑えてくれます。
インタール:喘息など気管のアレルギー反応によっておこる病気に使います。
生理食塩水:0.9%の食塩水です。他のお薬を混ぜて使います。加湿効果を増やします。
<わかりやすく言うと!>
・痰のからんだ咳が出て、上手く痰が出せずにゼロゼロと苦しいとき。
・強い咳で夜眠れないとき、何度も起きてしまうとき。
・喘息発作などでゼーゼー苦しいとき。
我慢しないでクリニックで吸入をしましょう。呼吸や咳が楽になりますよ!!
こどもクリニックでは、吸入を嫌がるお子さんたち(意外に多いんですヨ)のために、フレーバーをつけることができます。咳を誘発しない香りを選んでいます。ソフトクリームの香りなら、一生懸命吸入してくれるかも。ためしてみたい方は、ぜひナースまでお声がけ下さいネ!
(3)『輸液について』
<輸液ってなんですか?>
嘔吐下痢症や高熱で、水分摂取の低下や体からの水分喪失が多いと脱水症状をおこします。この時に、体に必要な水分と塩分などの電解質を直接体内(血管内)に補うことを目的とした治療法です。
脱水のあるときにはとても有効ですが、脱水のない時はせっかく輸液しても、余分な水分は全部オシッコになって出てしまうため意味がありません。
<脱水症状って?> 大事!
@顔色が蒼白になる、A口唇がカサカサに乾燥、B泣いても涙が出ない、Cヒフに張りがなくなる、Dオシッコの量や回数が極端に少ない、E不機嫌や倦怠感、などの症状があれば脱水を疑います。
<こどもが脱水になりやすい理由> チョッと難しい!
こどもは、大人に比べ体重あたりの水分量が多く、少しの水分の喪失でも大きく影響する、腎臓の機能が未熟で水分を保持する能力が低い、のどの渇きなどの脱水時の訴えが少ない、などが理由としてあげられます。
<お願いと注意点>
1、輸液中のおこさんはとても不安です。数時間かかることもありますが付添ってあげて下さい。
2、輸液中は医師、看護師が全身状態や針の入った場所などをチェックしています。御安心下さい。
3、輸液中のおこさんから何か訴えがあった場合はスグにお知らせ下さい。
4、嘔吐下痢症の時は排泄されたウンチにウイルスが混じってます。輸液中にオムツを替えた時は手洗いを!
1時間に体重×10ml位の量を体に入れます。15kgのお子さんなら1時間に150ml位輸液するのです。小さいお子さんには、輸液ポンプという器械を使って慎重に輸液します。
途中で抜いてしまわないようしっかりテープで固定します。
(4)『採血』について
<何で血をとるの?>
血液は、カラダの中を循環して、酸素や栄養、内分泌ホルモンなどを供給し老廃物や二酸化炭素を運び去る役割をしています。
カラダのどこかに悪いところや不都合があると、鋭敏に反応します。たとえば、炎症があると炎症性タンパク質(CRP)が増えたり、脱水になると腎機能の低下をあらわす尿素窒素が増えたり、貧血になると赤血球数が減ったりするのです。そしてこれらの指標をもとに、病気の診断をつけることが出来るのです。
<採血でこんなことがわかります>
1、貧血があるかどうか
2、肝臓の機能や腎臓の機能
3、血液の中のコレステロールや脂肪
4、血液の中の電解質(塩分やカルシウムなど)
5、麻疹などのウイルスに罹ったことがあるか、あるいは現在罹っているか
6、アレルギー体質やスギやホコリなどに対してアレルギーがあるかどうか
7、カラダのなかで炎症がおきているかどうか 等
<採血の方法>
・クリニックで行う採血は主に静脈採血です。
・肘や手の甲にある採血に向いた血管をさがします。細すぎると結果に誤差が出ることがあるので慎重にさがします。
・針を刺す場所付近をアルコール綿で消毒します。アルコールで皮膚が荒れてしまうお子さんは他の消毒薬を使用します。
・細い針を使用し皮膚から静脈へ針を刺します。皮膚を刺すときだけ痛みが一瞬あります。
・必要な量だけ注射器に採取します。だいたい3ml〜10ml位でカラダにはほとんど影響がありません(ちなみに献血するときは200〜400mlとります)。
・採血中に動いてしまうと針が血管を破ったり皮膚を傷つけたりとても危険なのでしっかり固定します。
・採血終了後は血が止まるまでしっかり押さえます。このとき止血が不十分だったりもんだりすると皮膚の下に血が漏れて血腫(青タン)になりますので注意が必要です。
<ナースからひと言!>
採血は針を刺すため、お子さんが怖がったり、痛がったり、泣いたりしてしまうのでかわいそうに思われるかもしれません。でも、病気の診断や治療方針を決める大切な検査なのです。こどもたちが不安にならないようにスタッフ一同こころ掛けていますので、安心して検査を受けさせてあげて下さい。そして、検査が終わった後には「がんばったネ」とねぎらって下さい。お子さんは、お母さんの笑顔で検査の痛みを忘れてしまうのです。
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